"DORAGON QUEST YOUR STORY"は"DORAGON QUEST 5"であって"DORAGON QUEST 5"ではない
どうも、naoです。
8/3から公開された"DORAGON QUEST YOUR STORY"を鑑賞してきました!
僕自身ドラクエシリーズが大好きで、ナンバリングされているタイトルでは10以外はすべてプレイしました。中でも一番好きなのが5。SFC版、PS2版、DS版をそれぞれプレイしたほどです。
しかも5が発売された年は僕の生まれた年でもありまして、色々と感じるものがあります。そのため、5を基に制作されると知った時からとても楽しみにしていた作品でした。
以下良かった点と悪かった点に分けて記述していきます。
※以下ネタバレ注意です!!
良かった点
1.開幕すぐのSFC版のプレイ動画
「なぜ冒頭でこれを???」と思いましたが、それにも増して当時夢中になってプレイした思い出が蘇ってきて涙ぐみました…
しかも伏線だったんですよねここ(内容は後述)。
2.グラフィックの良さ
主要キャラはみんなよかったんですが、やはり個人的トップは王道を行くビアンカですね。
元のキャラデザとはまた違う雰囲気を醸し出しているのに加えて、幼馴染という設定が分かっていてもやはり堪りません。
それから外ハネがめっちゃ可愛い
と思うんですが同志はいますか???(必死)
モンスターではキラーマシンが特に好きです。(色的にはメタルハンターに近いけど…)
「主人公の身長くらいかな」と思っていたらそれよりもはるかに大きく、攻撃のモーションがゲームのままだったりと、新たな気づきがあったり原作ファンも喜べる作りとなっているのが見て取れました。
3.ストーリーの分かり易さ
この点については特に否の意見を見るのですが、
リュカは自身がゲームをプレイしている身であると告げられる
↓
それでもこの世界で確かに自分たちは生きていると主張、ウイルスを滅ぼす
↓
告げられた内容が真であることを受け止めながらも、この状況下で生きていることを実感し、エンディング
となっているので、齟齬はないように思いました。
むしろ、
- 序盤でSFC版のプレイ動画が流された理由
- 副題"YOUR STORY"の意味するところ
- "STORY"の"R"が反転している理由
といったことを、実際に明言されていなくても察せられるよう仕向けたのは脚本の妙だと感じました。ドラクエ5を未プレイの人にも楽しめる内容でした。
また、BGMに歴代の名曲たちを起用してくれていたのはドラクエファンとして嬉しかったです。5を含んだ4~6は俗に"天空シリーズ"と呼ばれているのですが、そのシリーズの中からの選曲が多かったのはファンサービスなのではないかと思っています。
因みにそれ以外ですと、劇中で一曲が7、エンディングの少し前に流れていた「この道わが旅」は2、エンディングは3の楽曲が使用されていました。
以上が良かったと思う点でした。次は悪かった点です。
もっと言うと、「ドラクエ5に思い入れのある人にとって」悪かった
ということになります。
つまりストーリーの改変でしょう。
- レヌール城の件をプレイ動画で片づける
- サンタローズが滅びていない
- マリアを助ける件を全カット
- 大神殿の真下に町がある
- プサンが出てくるのに天空の城は出てこない
- パパスの手紙とパパスの剣が小屋の地下室にある
- ゲレゲレが「ビアンカのリボン」なしで懐く
- ブオーンがサラボナの祠の下に眠っている
- ゴールドオーブがドラゴンオーブになっている
- 妖精の国がチベットの奥地にある
- 子供がアルス一人だけ
覚えているだけでこれだけありますが、僕が気になったところを選んで見ていきます。
1.レヌール城の件をプレイ動画で片づける
レヌール城は幼少期の重要イベントです。ストーリーの尺の問題で削ったものと思われますが、ここはカットしないでほしかった。
なぜなら
- 将来結婚するビアンカとの思い出
- ゲレゲレを助ける転機
- ゴールドオーブ(映画ではドラゴンオーブに改変)の入手
というストーリーに直結する内容が盛りだくさんだからです。
逆にここを多少なりともピックアップして描けば、サラボナでビアンカと再会した時の喜びや、大人になって再びともに戦う緊張と興奮が観客に伝わったのではないかと思います。
2.マリアを助ける件を全カット
個人的にマリアの存在を消されてしまったことがかなりショックでした。
だって将来のヘンリーの妻ですからね???
ヘンリーが出る以上外せないキャラですし、
彼女をムチおとこから助ける→そのお礼にマリアの兄(建設現場の衛兵)が脱出の手引きをする
という流れですから、まさか全く関わりのない奴隷から脱出できる術を教わるとは思ってもみませんでした。そんなこと知ってるんなら早く逃げ出せ。
映画では、プサンはドラゴンオーブを使ってドラゴンになるために登場しました。
そうではなく、「幼少期のリュカの持つゴールドオーブをすり替え、天空城を蘇らせ、ゲマのところに向かう」というシナリオであればかなりスムーズに事が進んだ気がします。
しかし、この通りだとドラゴンオーブを入手する話を組み込まなければならないので、尺の都合上難しいか…
4.ゲレゲレが「ビアンカのリボン」なしで懐く
「野生に戻っても匂いを覚えている」と言われれば説明はつきますが、それでもゲレゲレとの再会は感動的なシーンとして映してほしかったです。
ゲームではビアンカが別れ際にゲレゲレにリボンを付けてあげるシーンがあり、10年後に再会した際にリボンを見せると懐くのです。
だからこそレヌール城のところは触れてほしかった訳です。
あと僕はチロル派です。
これは突っ込むしかありませんね(苦笑)。
そもそもブオーンはルドマンの先祖によって壺に封印されていて、その封印が解けたために倒すことになったのであって、祠の下にいて頻繁に起きるような魔物ではないのです。よく今までサラボナ滅びなかったな…と思いながら観てました。
6.子供がアルス一人だけ
確かに勇者は息子だったけど、娘を出さない理由はないと思うんですよね…ここは単純に「なぜ?」と思いました。
批評とも批判とも言える駄文を長々と書きましたが、感想としては、平々凡々ですが面白かったです。
「ここまで言っておいて面白かったんかい!」と言われるかもしれませんが、あくまで"DORAGON QUEST YOUR STORY"としては面白かった、という意味です。
元のストーリーを捻じ曲げ続け、最後には「お前はゲームをプレイしていたにすぎない」なんて言われる物語は"DORAGON QUEST 5"ではないです。それは勿論です。
ただ、"DORAGON QUEST YOUR STORY"という物語として考えるのであれば、しっかりと筋は通っています。正直いきなりウイルスなる者が現れた時には驚きましたし、「そういう展開に持っていくのか!」という興奮もありました。
本作品は"DORAGON QUEST 5"を基に作られたオリジナルであり、故に"DORAGON QUEST 5"であって"DORAGON QUEST 5"ではないということです。
ただ悲しいことに、多くの人(自分も含めて)が"DORAGON QUEST 5"の世界をそのまま映像化されることに期待してしまっていた。そして、ドラクエファンに狙いを定めながらもライト層も取り込もうとする中途半端なターゲティングをしてしまった。
ここに作り手と受け手のギャップが存在し、結果として否の意見が目立つ作品となってしまった。非常に残念です。
なので、これから観に行く予定のある人は「ドラクエ5を基に作られたオリジナル」という目で鑑賞することをお勧めします。前述の通りグラフィックや音楽は非常に素晴らしいので、大画面・大音量で楽しんでいただけたらと思います!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!